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焼過ぎたパン

¥3,500 税込

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制作:下道基行
年月日:2017.9.26
サイズ:90×47×10mm
素材:パン、フキサチーフ
場所:愛知県

"overroasted bread"
creater:Motoyuki Shitamichi
date:26.6.2017
size:90×47×10mm
material: bread,
place: Aichi Japan


再び、
朝、妻が、パンの片面を焦がした。2枚も。
食べるのを諦め、もう片面もじっくり焼きあげ、炭にした。
この朝の出来事を永遠にしてみよう。


【戯言1】
半分焦げてしまったパンを、妻の許可を取り、”炭化”することにした。
要らなくなった鍋にそれを入れて、銀紙でフタをして小さな穴をあけ、カセットコンロの上に置き、庭で火をつける。中火。はじめは煙が出るので、本を読みながら火の番。1時間半ほどすると、煙は全く出なくなり、完全な炭化が完成した。水分を完全に失い、ひと回り小さくなり、硬くなった。黒色が美しい。

【戯言2】
2015年夏、北海道を旅行しながら訪ねた羅臼町郷土資料館に展示された真っ黒の出土品と出会った。それらは、案内をしてくださった涌坂周一さんが昭和57年に発掘(松法川北岸遺跡)、復元を行なってきたもの。アイヌ文化に多くの影響を与えたというオホーツク文化の謎に満ちた豊かな生活を伝える遺物として国の重要文化財に指定された。
この発見で非常に興味深いのは、発掘された竪穴式住居跡が火災にあっていたこと。1300年以上の時間を越えて木製品が現存していた理由が、火災により室内が偶然炭焼き窯のようになり木製の生活品たちが炭化したからだという。もしも炭化していなかったら、他の遺跡同様に木製品たちは腐敗して朽ちていたそうだ。

偶然に焼けてしまったことによって、その時の些細な日常生活は凍結され未来への歩みを始める事になった。



【戯言3】
パンは絵を描くことと密接に関わっている。
高校の2年生の時、はじめて食パンを“使った”。木炭デッサンが受験で必須である油絵学部を受験する僕には食パンは“食べるもの”でもあり“使うもの”だった。木炭デッサンを行なう柔らかい素材の用紙は消すゴムでは硬過ぎて傷つけてしまうため、昔から今でも木炭デッサンには食パンを使う。炭で描きパンで消す。はじめて食パンを買って、中の白いフワフワのところを少しつまんでこねて“使った”ときの罪悪感と新しい感覚を覚えている。
炭化したパンは触れるとポロポロと壊れやすいので、フキサチーフを軽く振りかけた。


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