サンダル底の小石

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年月日:2016.6.29
サイズ:38×11×11mm
素材:石、ガラス
場所:沖縄本島、宮古島、多良間島
制作者:下道基行

"small stones collecting by shoe sole"
date:29.6.2016
size:38×11×11mm
material:stone, grass
place: Okinawa, Miyako, Tarama
creator: Motoyuki Shitamichi



【物語1】
沖縄を取材した2週間。
最終日に、取材中に履き続けていたギョサン(小笠原諸島発祥の海人サンダル)の底にたくさんの小石が挟まっているのをみつけた。
ほじくって取り出して、小瓶に詰めた。
小石の中にはガラス片や珊瑚らしき欠片もあった。
ガラスの側面に「2016.6.29 OKINAWA」と刻む。
境界を漂泊する島の小石を小瓶に入れてネット上に流してみる。


【物語2】
小石を入れた小瓶は、沖縄滞在中に宿泊させて頂いていた佐藤家のマコちゃんに頂いたもの。右足のサンダルから採取した「サンダル底の小石」瓶は佐藤家にお礼としてプレゼントした。よって、これは、左足の「サンダル底の小石」。
右足のサンダルには小石と共にBB弾、左足にはガラス片が詰まっていた。


【物語3】
このサンダルは昨年、石垣島で購入したもの。
靴底をほじくったのははじめてなので、ここに詰まっていた石が沖縄の物なのかは定かではない。


【物語4】
拾っていないので”拾得物”ではない。


【物語5】
「新しい骨董」サイン入り証明書と、今回は箱も付きます。


【物語6】
1986年、路上観察学会は筑摩書房の編集者松田哲夫が企画してはじまり、赤瀬川源平を中心に様々なメンバーが集まり、路上を舞台に活動し、その楽しさと分かりやすさから、ひとつの”遊び”のように全国に広がりブームを起こし、その地方の支部は現在も活動しているという。
2015年、「新しい骨董」は編集者の影山さんの言い出しっぺで結成され、「新しい骨董」もできれば、「作家の作品」という枠を飛び越え、僕たちの手を離れて、よりたくさんの人々に勝手に広がって欲しいと思っているし、影山さん曰く”インターネット時代の路上観察学会”をひとつの目標としている、ようにも思う。
そう考えると、編集者で言い出しっぺということで、影山さんは路上観察学会で例えるなら松田哲夫ポジションということになりそうだし。さらに、そうすると…、山下陽光と下道基行を中心としながら参加するメンバーが増える中で、「一体、誰が赤瀬川か?」という話題が出るようになるのは当然の事。高校生がバンドを組むと全員がギターを希望する…ように、やはり赤瀬川はギター(ボーカル)であり、これはなかなか難しい問題である。
ある飲み会でそのような話になった時、陽光くんは(たぶん赤瀬川熱狂的信者にも関わらず)「下道くんが赤瀬川なんじゃない?」と優しさを見せるが、僕としてはそんな気持ちは毛頭なく「僕ははじめから林丈二ポジションとしか考えていないよ」と正直に答えて、周囲を驚かせ、さらに妙に納得の空気が漂わせたことを覚えている。(ちなみに、僕は高校の時、コピーバンドではベースを担当。)

さかのぼる事、今から17年くらい前。僕が美術大学の油絵科に進学したにも関わらず、真っ白なキャンバスの上に新しく自分で何かを作ることに興味を失っていた時。”制作”ではなく”観察”の道を教えてくれたのは、考現学であり、さらに考現学直系の林さんだった。INAXBOOKLETの「林丈二的考現学」と出会い、その中で掲載されていたヨーロッパを旅した時に靴底にはさまった小石を瓶に入れて町ごとに並べた「靴底の小石」というものに衝撃を感じた。旅のロマンと圧倒的な無意味さ…。それ以来、現在でも、地図に歩いた場所に赤いラインを引きながらとにかく歩くことを日課にしているし、多くの作品もやはり歩くことと地図マーキングとメモから始まる、それらは、林さんのマネからはじまったのだと思う。

今回、沖縄取材の最終日。
取材中に履き続けていたギョサンの底にたくさんの小石が挟まっているのをみつけ、ふと、林丈二「靴底の小石」を思い出した。そして、「林丈二的考現学」に出会って16年目にしてはじめて自ら小石の瓶詰めを行なった。これは恥ずかしながら敬意をこめたオマージュという行為であり、非常に個人的ではあるが、下道にとっては一種の記念碑のような新しい骨董である。
つまり、今回は、サンダルに挟まったただの石ころを日本文化の伝家の宝刀「本歌取り」を持ってして、価値を変えようと言う魂胆。

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●靴底の小石 林丈二

・靴底で集めたヨーロッパ 

ちなみに、このタイトル「靴底で集めたヨーロッパ」は赤瀬川さんがつけてくれたものだと思って、当時の文献を探したが出てこない。もしかして自分で言ったのだろうか。それほど古い出来事になっている。
 きっかけは、ヨーロッパを毎日歩いている時、足を痛めないようにと、ホテルに戻ってから靴底についた小石をほじくりだしながら、これを捨てるのはもったいないと思ってとっておいたことからである。
 いわばブランド主義のようなもので、これが「パリの石」とか「ローマの石」と思うと、時別な物に思えてくるのが不思議であり、貧乏性のなせるワザというでもいうか、結局持ち帰って小瓶に詰めて並べるようなことになった。
 しかしこれがなかなか美しい。しかも並べてみると、それぞれの街の色というものがあって、それがここに凝縮されているように思える。僕にとっては一種の宝石のようなものである。
「林丈二的考現学」(INAXBOOKLET)より

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【物語6】
そういえば、沖縄最終日で朝に「サンダル底の小石」を作ってみて、出品する前にすぐに陽光くんに「こんなの出品しようかと思ってる」とメールをすると、このような返信が来た。

”なにー、林丈二リスペクト完璧やんけ。
俺も近所の家の人の小石が挟まりやすいサンダルの定点観測やってるよ~。”
(定点観測写真は写真欄一番右)

サンダルの定点観測とはさすがである…。そういえば、赤瀬川さんと林さんは旅先等で見つけた面白い路上物件をポストカードにして送り合っていたそう。
そんなこんないろいろリスペクトを込めて。