無題

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年月日:2016.5.26
サイズ:48×26×8mm
素材:プラスチック
場所:福岡県
発見者:下道基行


"untitled "
date:26.5.2016
size:63×89×1mm
material: plastic
place: Japan
discoverer:Motoyuki Shitamichi

【物語1】
『漂着物事典』(海鳥社 1986)は漂着物の事典でありながら、作者の石井忠さんの漂着物への愛情に満ちている。石井さんは漂着物学会の初代会長さん。家の側の玄界灘に娘さんと貝を探して歩いたことがきっかけで、何十年もこの浜辺を歩き続けている。2014年に福岡の自宅にインタビューに伺わせて頂くと、「体調が悪くなければ、一緒に浜辺を歩いてご案内したいのですが…」と、お庭に建てられた自作の漂着物博物館を案内してくれた。
先日、福岡で飛行機から電車への乗換に数時間余裕があったので、石井さんがいつも歩いていた浜辺に足を運び、1人で漂着物を探して歩いた。そこで拾ったのがこれ。
タカラガイだと思って拾い上げると思ったより軽く、つぶれたペットボトルの蓋だった。

「●ータカラガイ 
タカラガイには「宝貝党」と呼ばれるほどのコレクターが多い。色や形から人をひきつけるものがある。日本は世界で有数のタカラガイの産地で、全部で七十五種ほどある。その中のテラマチダカラ、ニッポンダカラ、オトメダカラは「三名宝」と呼ばれている。
……
タカラガイといえば、シプレアモニタ、すなわちキイロダカラやハナビラダカラは「貝貨」としても著名である。そして、柳田国男の「海上の道」につながる。伊良湖岬に漂着したヤシからの発想で、南島にたどり着いた中国の人たいが、島でタカラガイを見つけ、一旦大陸へ戻り、再びイネなどを持って渡来したというものである。文化は南から北へ、小さな島から大鹿島へと渡って行く。……」(『漂着物事典』より)

漂着物のなかには、貝殻のように自然物もそうだが、ペットボトルのように人間の生活品もたくさん流れ着く。『漂着物事典』の目次も、アオイガイにはじまり、ガラス瓶や貯金箱、履物など人工物も多く取り上げられている。浜辺に寄せる生活品の欠片は角が丸まり、新しいゴミなのに妙な骨董感がある。
柳田国男は青年の時、漂着したヤシの実を見つけて心を動かされた。石井さんの個人の活動は民俗学の谷川健一など多くの方が応援していたそうだ。石井さんの地道な個人の活動である漂着物学は、民俗学の誕生前夜の柳田の青年期の記憶と接続しながら、ひとつの新しい民俗学の流れとなり今の時代に結ばれている。

【物語2】
赤瀬川源平は「千円札裁判」「零円札」などお金を扱った作品を手がけているが、今のアートマーケットでの売買いが盛んな現代美術の世界では、”お金”を扱う作品は最も良く扱われるモチーフのひとつだろう。紙幣で立体を作ってその紙幣の数百倍の価格で売るとか。

貨幣の「貨」という文字の意味は、「1、ねうちを持つ品物。財宝。2、代価として通用する品物。金銭。 」とある。「貨」は貝が化けると書く。古代の中国でタカラガイは貨幣とされて使用されていた。どことなく女性器にも似たタカラガイの形は貨幣として認知されその後、中国で銅貨の形の中にも残り続けたという。お金の形の原点のひとつがこのタカラガイ。

今回は、拾ったゴミを日本文化の伝家の宝刀「見立て」を持ってして、お金に変えようと言う魂胆を文章化してみた。

ペットボトルのキャップ、同じ浜辺で見つけたタカラガイとセットで700円。